池袋の将来を担う1日に。東西の大通りを使った社会実験
3月21日(火・祝)に「~池袋東西ウォーカブル社会実験~みらいつなぐいけぶくろDAY」が開催された。
池袋を居心地よく、歩いて楽しいウォーカブルなまちにしていく未来のために、区民・企業・行政が一緒に考えた本イベントは、駅前広場化が計画されているグリーン大通り(東口)とアゼリア通り(西口)で同時開催の「池袋東西ウォーカブル社会実験」という位置づけであり、道路やステージでは池袋にゆかりのあるパフォーマンスやコンテンツが行われ、キッチンカーも出店。
まず東口、西口のオープニングステージには吉本興業所属のお笑いコンビ、マヂカルラブリーとコロコロチキチキペッパーズがそれぞれ登場。池袋のエピソードも交えてのトークで駅前は笑いに包まれ、楽しい雰囲気でイベントが幕を開けた。
5月によしもとアカデミー東京校が池袋サンシャインシティ文化会館に移転してくるご縁から、今回2組が登場した。さらにステージでは生徒、卒業生によるネタやパフォーマンスも披露され、道行く人も思わず立ち止まり、さっそく池袋というまちに溶け込んでいるようだ。
そして道路を使ったパフォーマンスがどんどんスタート。パワー溢れるパフォーマンスに見入っている人や、動画を撮っている人、出店フードを片手に談笑する家族など、道路は人で埋め尽くされていく。オープニングの挨拶で豊島区長職務代理者 齊藤雅人副区長が「池袋の将来を担う1日になるだろう」と話したように、まさに今回のコンセプトである“訪れる人みんなが「人」中心の広場を体験”している様子を目撃できた1日だった。
ウォーカブルなまちづくりに向けて。見つかった課題とは
今回は「社会実験」として、今後ウォーカブルなまちづくりを目指す上での課題を見つけるという役割を含むイベントであったが、具体的に「社会実験」とは何か、イベントについて、特定非営利活動法人ゼファー池袋まちづくり理事長の小林さんに話をうかがった。
「イベント自体は去年の夏から実施を目指してきました。駅前の大通りを広場に見立てて西も東も回遊できるようなまちを目指していこうという取り組みは、もう20年以上前から進めてきて、豊島区の交通計画にも採り入れられているのですが、実現できるのはまだまだ先になるんですね。その前に社会実験として駅前に広場ができたら、人中心の道路ができたらどんなことができるのかっていうこと、実現するまでにその課題を見つけたいという思いから、このイベントはスタートしました。」
当日を迎えるにあたって、事前準備の段階から課題は見つかったようだ。
「バスの停留所を移動する、駐車場への誘導を看板で案内するなど、交通事業者や公共交通を利用する方々への周知とご協力をいただく関係者の複雑さや、警察の交通管理上の課題対応も多岐にわたることなど、たいへん勉強になりました。当日は立ち止まって見る人が多くなって、往来する歩道スペースが狭くならない配慮も必要でした。さまざまな課題を認識し、皆が楽しめる環境を作るために、こういう実験を繰り返し検証することが大切だなと感じました。」
コンテンツの交流で東西一体に
今回はエイサーやよさこいといった、普段は東西それぞれで行われるコンテンツが、両会場にて繰り広げられたというところも特徴的である。
「池袋駅の東西エリアが一体となって、同時に一緒にやるということに価値があると思っています。演者さんもイベントを見る方も東と西を往来ができますし、いつも東側で親しんでいるものを西側で見よう、西側で親しんでいるものを東側で見よう、というのが『ウォーカブルなまち』を象徴していていいなあと」
東口のパフォーマンス1つ目は東京消防庁音楽隊。よく晴れた外で聴く演奏はとても気持ちが良い。
西へ移動すると、ちょうどエイサー演舞が行われていた。普段東口で開催している池袋めんそ~れ祭りinサンシャイン60通りで馴染みのあるエイサーが、こうして西口の道路で披露されているのはなんとも新鮮。
再び東口へ戻り阿波踊りを鑑賞。小さい子から大人までお囃子と太鼓に合わせて踊っている。将来道路にこうした家族がたくさん集まってくる様子が見たいと感じた瞬間でもあった。
また東口のステージ上ではVoce LIVE!が行われ、バイオリンやピアノの演奏、歌声が響き渡る様子は、さながら海外の街中のようだ。
ラストの西口でのよさこい演舞では、大きな旗が広い大通りいっぱいに広がり、カラフルな衣装も道路に映えていた。
小林さんも、「遊ぶ拠点を回遊しながら、憩えるコミュニティ広場が駅前にできたら」という。
歩く人たちが関心を持ち、楽しんで過ごしている様子が印象的であった。今後このイベントが定期的に行われ、近い将来池袋の駅前に広場ができ、「人」中心のウォーカブルなまちになることを願い、楽しみに待っていよう。
文:長 紅奈見 写真:北浦汐見