サンシャイン60展望台 てんぼうパーク
かつては「遊べる」展望台だったサンシャイン60展望台が、“365日、公園びより。”をテーマに、“新たな眺望体験を提供する空の公園”をコンセプトにした空間へと、4月18日に生まれ変わった。ひとりでのんびりするもよし、ファミリーやパートナーと楽しむもよし。リニューアルした施設はどんな様子なのか、サンシャインエンタプライズ篠原さんに話を伺った。
体験する場所から憩いの空間へ
以前の「サンシャイン60展望台 SKY CIRCUS」は最新技術を体感できる展望台であったが、リニューアル後は緑いっぱいの開放感溢れる公園のような雰囲気に一変。大人から子どもまで多くの人で賑わっている。
「もともとは、サンシャインシティの45周年を契機に新しい展望台を考えようというところから始まりました。これまではARやVRといったデジタルコンテンツが主だったのですが、リニューアルを機に、本来の展望台の魅力である眺望や、非日常的な時間を過ごしたい方々向けにどういった場所を提供できるか考えていました。豊島区では4つの公園を核としたまちづくりを進めていて、イケ・サンパークや南池袋公園など、地域の方もいながら、外からお客様が集まって活気のある公園があります。実際にお客様にアンケートをとってみると、“憩い”と“公園”というキーワードや、リラックスできる空間が欲しいといった声が多かったので、“空の公園”として、我々ならではの公園を提供していこうとなりました」
てんぼうパークは、地下1階から分速600mの「シャイニングエレベーター」に乗り込んでわずか35秒で到着する。エレベーター内では星空を思わせる内部の装飾が高揚感を演出し、到着したエレベーターホールは、さながら木々に囲まれた木漏れ日のさす森のよう。エレベーターホールはもちろん、パーク内も昼と夜で空間の顔が変化する、1日のうちに何度でも訪れたくなる場所へと仕上がった。
「公園なので、幅広い方に過ごしていただきたいなと思っていました。お子さま連れにも来ていただきたいので、カフェでは離乳食も取り扱いしていますし、ベビールームも設置しています。ベビーカーのお子さまはハイハイスペースを利用されたり、もう少し大きなお子様は芝生の上を裸足で歩いたり。夜になると大人のお客様が、芝の上で座ったり横になったりして夜景を楽しんだり、焚き火のエリアでご飲食されたり。昼と夜だと照明の雰囲気はもちろん、BGMや焚いているアロマの香りも異なる仕様にしています。BGMもこだわっていて、昼は自然の音、鳥のさえずりや水のせせらぎ、いわゆる音楽というよりも、自然音を中心に、夜はもう少しムーディーな曲調にしています」
のんびり過ごすだけじゃない。地域と外がつながるきっかけにも
てんぼうパーク内にはイベントスペースがあるため、公園目的で来てイベントを知ることもできるし、イベント目的で来たときに公園を知ることもできる。今後もさまざまな企画を考えているようだ。
「展望台としても豊島区としてもアニメ、キャラクターのイベントは積極的に推進していますし、池袋はサブカルのまちなので、そういったイベントは行っていく予定です。あとは学習発表の場など、地域に根付いた利用の仕方も検討できれば良いなと思っています。これまで外からお客様を呼ぶ場所やイベントは多かったのですが、これからは外からお客様を呼びながらも地域の方が集えるコミュニティーの場になればいいですね」
そしててんぼうパーク内にはカフェも併設。眺望を堪能しながらオリジナルフードやドリンクを楽しむ人が多くいた。
「おすすめのメニューはスムージーですね。『てんくうスムージー』は写真映えしますし、『バナナスムージー』は糖度の高いバナナを使用していて、自然由来の甘さで、体にも優しい。カフェでも今後、イベントとの連動メニューも考えていきたいと思っていますので、いらっしゃるタイミングで限定メニューがあるかもしれません」
さらに、てんぼうパークから見える月は「日本百名月」に認定されているそう。
「ここは周りに高い建物がないから景色も綺麗に見えますし、月も綺麗に見える。眺望や天体の魅力をお客様にしっかり伝えて、好きになってもらいたい、見に足を運んでもらいたいという思いがありますので、6月にはストロベリームーンが見えるイベント、秋冬にはダイヤモンド富士を見るような、「てんたいパーク」というプログラムを年間で用意しています」
来た人自身が楽しみ方を見つけられるお手伝いができたら
篠原さん自身、池袋というまちは、若い世代とファミリー層が共存し、雑多性がうまくはまっているという印象を持つという。
そんなまちで、あらゆる年齢層の人が楽しめる空間へとさらに進化したてんぼうパークが、今後池袋とともに目指していきたいものとはなんだろうか。
「てんぼうパークは空の公園として、豊島区の5番目の公園を目指すという意気込みでいます。ファミリー層が気軽にきてもらえるような場所に、施設としてもそうしていきたいですし、池袋としてもそうなってくれたらと思います。そして池袋は雑多なところが魅力でもあるので外から訪れたお客様も、老若男女みんな気持ち良い場所を目指していきたいです」
ちなみに篠原さんのおすすめの楽しみ方を伺った。
「個人的には、芝生で横になって景色を楽しむのは気持ちがよくて特におすすめですね。以前の展望台だと、デジタルコンテンツを扱っていたので、これを楽しんでくださいね、という楽しみ方方を明確に提供していたのですが、今回は公園ですので、こちらからこれをやってくださいというよりも、お客さま自身に楽しみを見つけていただけるようにお手伝いすることが理想だなと感じます。生の植物とBGMでぼーっとしていただくだけでも良いですし」
公園ができてまちの雰囲気が変わったように、これからはてんぼうパークが第5の公園としてまちの雰囲気を変えていくだろう。
文:長 紅奈見 写真:立花 智
※掲載写真の一部は取材先よりご提供いただいております。