深海生物から昆虫食まで大集合!食で学ぶ生き物の命の大切さ
今、ユニークで奥深い特別展が開催されているのをご存じだろうか?それがサンシャイン水族館で開催されている「美味しくてすごい生き物展~美食奇食珍食生物図鑑~」だ。水族館の展示だが、海の生き物だけにとどまらず、今注目されている昆虫食なども取り上げて、「食」をテーマにした興味深い展示やイベントを実施している。
それにしても「水族館で美味しい」とは一体どういうことなのか?テーマの謎に迫るべく、本特別展を企画した今井俊宏さんに展示の見所やおすすめポイントを教えてもらった。
特別展を通して伝えたいのは、命をいただくことへの感謝
生き物が好きだった子ども時代を経て、現在はサンゴの保全活動や飼育、特別展の企画運営などの業務に携わっているという今井さん。そんな今井さんに、今回の特別展のテーマ「美味しい」にかけて好きな食べ物を聞いてみた。すると、返ってきた答えは意外にも海の幸ではなく、「鶏の唐揚げ」。
「部位によって味わいも食感も違うし、衣も使う粉やまぶし方によって変わるし、究極のむずかしさがありますよね。…何はともあれ、美味しいので大好きです!」
唐揚げ一つとっても熱い想いと独特の視点を持つ今井さんなら、今回の展示にもさぞや思い入れがあるに違いない。早速本特別展の概要を聞いてみた。
「人は食べなければ生きていけない生き物です。だからこそ私達は、他の生き物から命をいただいていることへの理解や生き物への感謝をしないといけないですよね。それを伝えるというのが本特別展のコンセプトです。展示物には、私達が食べている生き物の紹介をはじめ、食物連鎖や食にまつわる情報などがあり、食を通じて生き物について学べる内容になっています」
「まさかこれが食材に!?」驚き満載の未知の食の世界
食を通じて命への感謝を伝える展示。食は人にとって身近な習慣なだけに窓口は広いが、本展は一歩踏み込めば深みにはまりそうだ。本展においては、普段口にする身近な生き物や、めったに見ることができない珍しい生き物たちの展示が充実。
“深海の掃除屋”の異名を持ち、漁師メシとしても人気のオオグソクムシや5つの味を感じることができるマボヤなど、「これが食材に…?」と驚く様相の生き物たちとも出会え、新しい学びが得られること間違いなしだ。
しかも、単に見るだけではなく、食育という観点からたっぷり味わうことができるのが本特別展の魅力だという今井さん。
「鮒ずしなどの食べ物の匂いを嗅げるコーナーなど体験型のコンテンツもご用意しているので、いろんな切り口から生き物を知っていただいて、より食に興味を持ってもらえればと思います」
ちなみに、展示するにあたり、展示している生き物のほとんどを食べてみたという今井さんのおすすめは、ヒメジャコガイ(※現在ヒメジャコガイの展示は行っておりません。)だそうだ。
「貝殻から出ている外套膜(がいとうまく)と呼ばれる部位が、紫・緑・青と色彩が様々な手のひらサイズの貝で、見た目がきれいな分食べるのをためらってしまうんですが、沖縄などではよく食べられている貝です。…実は私、貝は苦手なんですが、このバター焼きはとても美味しかったんですよね」
貝が苦手な人でも思わず「美味しい!」と言ってしまうヒメジャコガイ。一体どんな味がするのか…。ますます気になる所だ。
昆虫食の自動販売機も登場!今注目の昆虫食も楽しめる
実はもう1つ、ぜひご紹介したい本特別展の見所がある。それは、近年ますます注目が集まっている昆虫食の展示だ。会場の近くには昆虫食自動販売機も設置されており、「昆虫ミックス」や「ジャイアントコオロギクッキー」といったスナック感覚で食べられる昆虫食を購入することができる。果たしてどんな食べ心地を体験できるのか。未知の食体験に、子どもも大人もきっとワクワクできるだろう。
「スタッフによる味の解説や感想レポートもおすすめです。ぜひ読みながら、昆虫食を楽しんでほしいです」
昆虫食ももちろん食したという今井さん。食べたものの中には、コオロギ、クリシギゾウムシ、フェモラータオオモモブトハムシなど錚々たる顔ぶれが並ぶ。
「フェモラータオオモモブトハムシは杏仁豆腐みたいな味でしたね。すごいですよ」
そう昆虫食の美味しさを熱く語る猛者・今井さんがおすすめする昆虫食は、今回の特別展の連動イベントに出店した、地球を愛し、探求するレストラン「ANTCICADA」が提供する「コオロギラーメン」だ。
「コオロギの粉末を麺に練り込み、2種類のコオロギで出汁をとっているんですが、甘みもあって美味しいんですよ。だまされたと思って食べてみてほしいです!」
現在は出店イベントは終了してしまったが、「機会があったらぜひ食べてほしい」と今井さんが熱を込めておすすめる逸品。店舗情報は、特別展会場内でも紹介しているので、ぜひチェックしてほしい。
身近な食材がどう作られているかを知り 実は食べられる珍しい生き物と出会い、たくさんの驚きや発見を得られる本特別展。食を通して生き物との距離がぐっと縮まる分、命をいただくことへの感謝が自然とわいてくるはずだ。子どもから大人まで楽しみながら学べ、展示生物を一部変更し、パワーアップした内容となるため、ぜひ見に来てもらいたい。