RACINES FARM TO PARK
2016年に新しくなった南池袋公園と一緒に誕生した「RACINES FARM TO PARK」。モーニングからディナーまで1日中オープンしていて、ふかふかの芝生で食事を楽しむこともできる、公園に隣接するカフェレストランだ。運営しているのは、池袋を拠点に「GRIP」「RACINES」などを展開しながら、まちづくりにも関わる地元企業・株式会社グリップセカンド。「飲食店がまちを輝かせる」と話すマネジャーの柳岡律子さんに、お店とまちのことを話してもらった。
生産者と街の人をつなぐ公園のカフェレストラン
池袋駅の東口から5分ほど歩くと「RACINES FARM TO PARK」に到着。ガラス張りのお店には自然光がたっぷりと降り注ぎ、外に出れば緑の芝生広場が広がる、なんとも気持ちの良い空間だ。朝・昼・夜と時間帯によって変化するフードやオリジナルのクラフトビールなどメニューは多彩。ピクニックラグを借りて芝生でピクニックしたり、2階のライブラリスペースで本を読んだりと、誰がどの時間に来ても好きに時間を過ごすことができる。まるで公園の機能をそのまま飲食店にしたようなお店だ。
「朝はモーニングプレートやパンケーキ、昼は豪快な豚バラ肉のサンドイッチやバランスの取れたサラダ、バターミルクフライドチキンやポークジンジャーのランチボックスなど、夜はクラフトビールに合うスモークバーベキューやタコス、コース料理も用意しています。小さなお子様からおじいちゃんおばあちゃんまで、本当に多くの方が来てくださいます」
母体であるグリップセカンドの特徴のひとつが、全国60以上の契約生産者から食材を仕入れていること。「RACINES FARM TO PARK」もその店名の通り、季節の果実をメニューに取り入れたり、マルシェを開催したりと、まちと生産者を繋ぐ役割を意識しているそう。また南池袋東通りの姉妹店とともに食材廃棄率1%を掲げ、食材を余すことなく使うことにも取り組んでいる。
「今の季節だったら国産レモンやいちごを使ったスイーツを提供したり、暖かくなったら公園でマルシェも開催したいと考えています。また形が悪いとか、旬の時期に多く採れた作物も無駄にせず、アイスクリームやドーナツのグレーズに加工して販売しています。生産者に寄り添い、レストランの力でお客様の笑顔を生み出せれば良いなと日々思っています」
良いレストランが、良い街をつくる
“飲食店が街の舞台装置になる”という考えのもと、南池袋で多種多様なお店を出店してきたグリップセカンド。「RACINES FARM TO PARK」も豊島区とグリップセカンドが手を取り合って進めてきた、まちづくりの一貫でもある。また地元企業と共同して“まちなかリビング”プロジェクト「IKEBUKURO LIVING LOOP」の運営にも参加。公園の活用方法やグリーン大通りのにぎわい創出にも尽力している。
「レストランが輝けばまちも輝くというのが、代表である金子の考え。私たちが美味しいものを作り、そこに人が集まって良い繋がりが広がっていけば、自然と良い街が作られていくと思います。私たちはオープンからずっとまちづくりのひとつとしてこのお店を運営してきたので、これからも地域を盛り上げられたらと思っています」
オープンから8年間、お店と池袋のまちの両方を見つめてきた柳岡さん。今まちに対して、どのような印象を抱いているのだろうか。
「お店の立ち上げの時から、豊島区役所の皆様と良い街にするため、多くの議論を重ねてきました。この8年間で区が目指していたファミリー層や女性が暮らしやすいまちという姿に、順調に近づいてきていると感じます。私たちは新しく豊島区を訪れる方に「行ってみたい」と思っていただけるレストランであり続けたいです」
文:井上麻子 写真:北浦汐見