昔と今の池袋は違う! 進化を止めない豊島区を応援していきたい
2020年6月からスタートした「としまらいふ」は、豊島区のイベント・グルメ・暮らしに役立つコンテンツを発信する情報ブログ。運営するのは豊島区在住で豊島区が大好きだというERIPOさんだ。普段は会社員として働き、プライベートでは2児の母という彼女が “趣味”で始めた「おでかけ記録」は、2023年6月には月間66万PVを突破。総記事数(※)は650本を超え、多くの人が訪れる豊島区を楽しむ情報ツールへと成長した。ERIPOさんが「全力で推したい」という豊島区。このまちの魅力と、としまらいふを通して見るまちの今と未来についてお話を伺った。
※2024年7月9日時点
職場でも家庭でもない。としまらいふは自分だけのサードプレイス
池袋を中心に、豊島区内の情報を伝える「としまらいふ」。スタートラインにあるのは、コロナ禍で変わってしまった池袋の姿を目の当たりにしたことだった。百貨店や商業施設は軒並み営業を自粛し、なじみの店も閉店。ここに暮らし、普段のにぎわいをよく知るからこそ、ゴーストタウンと化したまちの景色に衝撃を隠せなかったという。それと同時に重なったのが、緊急事態宣言による子どもの休園・休校、自身の在宅勤務。消えてしまった“当たり前”が、ERIPOさんを動かすきっかけとなった。
「としまらいふを始めたのは大好きな豊島区を盛り上げたいと思った気持ちからですが、自分のおでかけのモチベーションにしようというのがもう一つの理由です。コロナ禍で家の中で過ごすことが多くなり、遠出や旅行もできないため近場で過ごすことが多くなっていました。それなら、自分の暮らす地域をもっと知ろう、楽しもうと思ったんです」
週に2~3回の記事公開に加え、1日4~5回のSNS投稿がとしまらいふの運用スタイル。IT企業でメディア運営やWebマーケティングなどに携わる仕事柄、サイト運用もお手の物だ。
「メディアを伸ばすという意味では、今の活動のボリュームでは全然足りていません。でも、サイト作成から取材、執筆、SNS上の活動まで全てを一人で担っています。ですから、自分のライフスタイルに合わせた無理のない範囲で運用するのが、私のスタンスです。情報収集やSNS投稿、記事になるネタをメモに取るといった活動は、隙間時間を利用。取材も、日常の延長線上で行うことが多いんですよ。保育園の送り迎えの途中や、まち歩きの中で見つけた物や場所があればその場で取材交渉します。それでも、仕事に家事・育児をこなす日々の中で時間が足りないと感じることは少なくありません。けれど、としまらいふはあくまで趣味の時間であり、私の大切な居場所。楽しく活動できているので、息抜きにもなっています」
コロナ禍でもどんどん変化し続ける豊島区はすごい!
ネタ探しをしながらまちを歩いていると、これまで素通りしていたような小さな変化に気付く。イベントやお店を新たに発見することで地域を楽しむ機会も増え、日常がより楽しくなったと振り返る。
「としまらいふを始めた時点で豊島区民歴8年目でしたが、知らないことの方が多かったんですよね。インターネット上には出てこない、楽しい場所やお得な情報、便利なこと、うれしいこと……。私と同じように、暮らしていてもまちの面白いトピックに気付いていない人は多いと思うんです。そんなローカルな情報を伝えるのが、としまらいふの役目でもあります」
記事をきっかけに企業間のコラボレーションが生まれたり、掲載した商品の写真を見て喜んでくれる店主がいたり。たくさんの人に情報が届いているという確かな実感もある。その分、厳しい意見が届くこともあるが、そんなときに思い出すのはとしまらいふの原点ともいえる場所だ。
「活動を頑張ろうと思うきっかけとなった場所が、『イケ・サンパーク』です。2020年7月のプレオープンに子どもと一緒に行ったのですが、そのころはちょうど新型コロナウイルス感染拡大によるステイホームが推奨されていた時期。ずっと家の中で過ごしていたため、久々のおでかけでもありました。開放的で、多くの人でにぎわっているのが楽しかったのですが、それより何より、コロナ禍でもまちが進化していることに感動。そんな豊島区の頑張りを、もっといろいろな人に伝えたいと思ったんです」
住みやすさと利便性、地域のつながりを並立させる豊島区はすごい!
豊島区や池袋にちなんだ洋服やグッズを身に付け、自らがまちの広告塔となり活動に励む。としまらいふの運営は、ERIPOさんにとっての推し活といってもいいだろう。そんな豊島区愛溢れる彼女に、改めてまちの魅力を聞いてみた。
「地元の楽しさを感じることができるのが、このまちの魅力だと思います。巨大なターミナル駅がある大都市であるにもかかわらず、地域のイベントやお祭りが盛んで昔ながらの地域とのつながりも残っていますよね。すごく積極的にご近所付き合いしているわけでなくとも自然とあいさつを交わす関係性が築けて、近所のおばあちゃんがお赤飯を持ってきてくれるなんてことも。暮らし始めて12年、住みやすさもどんどん増しています。身近な自分事を挙げると、保活があります。上の子と下の子は5歳離れていますが、その難易度が全く違ったんです。豊島区では令和2年度、待機児童ゼロを達成しています。保育所の数もかなり増えましたし、『本当にやってくれたんだ』と感じる出来事でした。一区民の視点で挙げると、公園の改革があります。トイレがきれいになったり、全面喫煙不可になったり。情報に疎い私でも区が何をしているのか、変化が目に見えて分かるんです」
豊島区に暮らす以前は“治安が悪い”、“怖い”というイメージがあったというが、住めば住むほど、活動すればするほど新たな魅力を見いだすことができる。「住みたい街」としてどんどん変化する柔軟なまちだからこそ、期待値も高いのだという。
「豊島区に期待したいことの一つは、子育てしやすいまちとしての周知。豊島区は保育所の整備に力を入れ、子育て支援制度も充実しています。それにもかかわらず東京23区内で最も合計特殊出生率が低く、子どもの数が少ないのは子育てしやすいイメージがまだ定着していないからなのでしょう。もう一つは、企業が活性化できるまちに成長してほしいということ。物件が少なかったり、家賃が高かったりというのも起因しているのかもしれませんが、意外にも池袋は企業のスタートアップに選ばれることが少ないんです。住む人や働き手が増えれば、区の税収など財源の確保にもなり、まちが栄え、まちの継続にもつながります。豊島区では『誰一人取り残さない』まちづくりを推進していますから、ファミリー層はもちろん、誰もが住みたいまち、企業の集まるまちになることを期待しています」
高際区長自らが地域のイベントに遊びに来たり、区役所の職員が住民とフランクに交流したり、行政が住民と近い距離感でまちづくりを進めている。しかし、それに気付いていない人が多いというのがERIPOさんの実感だ。今後の課題としては、情報発信をより強化することも必要だと考える。
「豊島区には、区民が事業提案できる『豊島区民による事業提案制度』があります。行政と住民の近さを感じるすごく良い制度で、私も提案したことがあるのですが、制度自体の認知が十分ではない気がしていて…。実現した施策も、なぜ始まったのか理由が分からないという声が聞こえてくるんですよね。行き届いていない情報はほかにもあると思うので、もっと多くの人が周知できる方法を検討する必要があるんじゃないかなと思います」
「豊島区すごいじゃん!」と感じた自分の感動を、多くの人に伝えたいと話すERIPOさん。としまらいふ運営から4年が経過し、としま会議への登壇やふくろ祭りへの協賛、豊島区の情報サイトではボランティアライターを務めるなど、活動の幅も広がった。豊島区の伝道師として、今後はどのような活動を考えているのだろうか。
「今よりもっと、地域の皆さんを巻き込んで活動したいです。一人で運営しているので自分の関心がある範囲しか紹介できていなかったり、子どもがいるのでナイトライフの紹介が極端に少なかったり。自分の生活圏の情報に偏っているというのが、としまらいふの課題です。エリアに詳しい方を監修に招いて教えてもらうのもいいかなと企画中。私自身もまだまだ開拓したいですし、まだ知られていない魅力を掘り起こし、より強くまちを応援していきたいですね」
文:濱岡操緒 写真:北浦汐見
※一部の写真は取材先よりご提供いただいております