美味しい料理が食べられる幸せ。自分が行きたくなる店でありたい
2016年、南池袋公園のリニューアルとともに誕生した「RACINES FARM TO PARK」。オープン当初からマネジャーを務める柳岡律子さんは(株)グリップセカンドに入社して16年目だ。「休日も自分のお店で食事がしたい」と話すほど、誇りを持ってお店づくりをしている彼女に、仕事のことや将来の話をしてもらった。
代表、金子の言葉に感銘を受けて、栃木県から上京
学生時代から飲食店でアルバイトをしていたという柳岡さん。食べることが大好きで、飲食に関わる仕事をしたいと思っていたところ、グリップセカンドの求人に書かれていた代表・金子信也さんの言葉が目に止まった。
「栃木の実家にいた時に、弊社の求人募集を見つけました。『私たちはファミリーのように人を育てていきます』という代表・金子の言葉が、ほかの飲食系の会社とは違うなと感じて。実際に当時の『GRIP』に行ってみると、素直に“いいな”と感じたので応募しました。以来15年間、グリップセカンドで働いています」
改装前の「GRIP」や「RACINES」、千駄ヶ谷のジャスミン食堂など、さまざまなまちで経験を積み、2016年「RACINES FARM TO PARK」がオープンするタイミングでマネジャーに就任。豊島区の公園事業と一体となったこの店舗で、約70名のアルバイトを束ねている。
「スタッフの9割が大学生なので、毎年チーム体制、つまりファミリーが変わります。毎日同じ日はなく、刺激的です。スタッフには『今日はどうだった?』『質問はある?』と毎日声がけをするようにしています。働いた時間が彼、彼女たちのやり甲斐となり、自信いっぱいのスタッフがお客様を迎えられることが理想です。もちろん私も自分が考えていることを日々伝えながら、スタッフとの間にギャップが生まれないようにストレートに仕事を楽しんでいます。」
そんな柳岡さんが仕事で喜びを感じる瞬間は、美味しいものが食べられること。そしてその魅力を、お客様に伝えることができることだ。
「グリップセカンドは本当に料理が美味しいんです。仕事を通じて、生産者さんが大切に作った食材や、それを使ったシェフたちの料理を食べられることが一番の喜び。弊社は業態もたくさんありますし、食材も料理も新しいものにどんどん挑戦するので、こんなに勉強になる環境はないと思います。また得たものをお客様に伝えて、お客様がどう反応してくださるかも楽しみ。さまざまなお客様と出会えることも、この仕事の醍醐味ですね」
池袋には、まちを育てる人がたくさんいる
豊島区とグリップセカンドがタッグを組み、まちづくりの中心としての役割を持って生まれた「RACINES FARM TO PARK」。コロナ前は地元企業と組み公園で野菜や花の販売、フードマルシェの開催をしていた。グリーン大通りのにぎわい創出にも尽力している。お店としてまたまちづくりの一端を担う企業として、地域と関わってきた柳岡さんにとって、このまちはどのように見えているのだろうか。
「地元の栃木にいた時は、池袋といえばサンシャインシティとドラマ『池袋ウエストゲートパーク』のイメージしかありませんでした。実際にこの場所に関わるようになって、地元の方々が良い意味でまちにプライドを持っているなと感じます。例えばなにかあった時に、すぐに声を発する人が多いのもそう。まちへの愛が強いから、他人事にしないんです。そういった人のパワーと、豊島区が目指す未来像が共存して新しい景色が見えたらいなと思います。RACINES FARM TO PARK もその1つの公園レストランとしてますます楽しい景色を演出できるよう頑張ります。」
池袋で15年過ごしてきた柳岡さん。池袋のまちで好きな場所を聞いてみると、彼女らしい答えが返ってきた。
「COFFEE VALLEYさんが好きですね。コーヒーの味が好みで、1階のカウンター席もとっても落ち着きます。でももし私が友達と一緒に池袋で遊ぶなら、やっぱりRACINESでランチをして、RACINES FARM TO PARKでコーヒーやクラフトビールを飲みたいですね。手前味噌ですが本当に良いものが食べられるので、友人からも美味しいねって言ってもらえるんです。心から嬉しい瞬間ですね。。自分が行きたくなるようなお店であり続けたいし、そんな自慢のレストランで働けていることも幸せですね」
暖かい季節になったら、公園で生産者を招いてのマルシェなど開催したいと話す柳岡さん。そして個人的には、あることへの興味が高まっているそうだ。
「いつか農業をやりたいなと思っています。弊社がたくさんの契約農家さんと繋がりがあるということや、実家も農家をやっているので、どんどん興味が大きくなってきています。レストランで働く中で学ばせてもらって、農業とレストランの架け橋をもっと増やしていければと考えています」
文:井上麻子 写真:北浦汐見